リポート

護衛艦ひゅうが 進水式 平成19年8月23日

去る8月23日、アイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッド(以下IHIMU)横浜工場において16DDHこと新型護衛艦が
命名ならびに進水した。事務次官更迭でもめる小池百合子防衛大臣の代わりに木村副大臣が出席し、護衛艦を「ひゅうが」と命名、さらに支綱を切断し、見事進水式が披露された。

本艦は「はるな」の後継艦として平成21年3月の就役を目指し、これからレーダーや武器の艤装作業にはいる。

なお、IHIでは2番艦の受注も完了しており、2年後の進水を目指して造船にはいる。

本来、大型護衛艦は「こんごう」や「あたご」の様に山の名前をつけてきたが、初の全通甲板を有した「ひゅうが」は従来のDDH(ヘリコプター搭載護衛艦)とは艦形が大きく異なることから、新たに国(地方)の名前を使用した。

「あかぎ」だ「ひりゅう」だと多くの艦船マニアの間でささやかれたDDHの名前は、ここにきて国名を用いることで、いっきに格を上げたといえる。なにせ、この上は「長門」と「大和」しかないのだから。

なお、「おおすみ」も全通甲板を有し、よく空母に間違えられているが、あれはあくまで輸送艦の駐機甲板であり、「ひゅうが」のヘリコプター飛行甲板とは基本的に異なる。

「ひゅうが」は全長197メートル・全幅33メートル・基準排水量13.500トン・COGAG式ガスタービン4基2軸、10万馬力で30ノット強・乗員340名・20ミリCIWS2基・VLSミサイル発射装置1式・水上発射管2基を誇り、哨戒ヘリ3機と掃海・輸送ヘリを1機搭載できる。

もちろん艦内に収納可能なので、最大搭載機数はさらに増大する。

「ひゅうが」は宮崎県地方の伝統的名称で、帝国海軍では「伊勢」型戦艦の2番艦として活躍、のちに航空戦艦に改装されており、今回のDDHへの命名も的を得たといえる。

報告:松永富夫

艦首。突き出た中央アンカー(錨)は、その下にある艦首艦底バウソナーを傷つけないため。
木村副大臣が支綱を切断すると、シャンパンが割れ、
音楽隊が「軍艦マーチ」を演奏する。
艦橋アップ。フェイズド・アレイ・レーダーはまだ板の張りぼて。
ドッグ内の「ひゅうが」。いわゆる船体が完成しただけで、レーダーや武器の艤装はこれから。あらかじめ注水されており、レールダウンの進水式とは異なる。
木村副大臣による支綱切断
進水。くす玉が割れ、花火が上がり、テープと鳩が飛び、数十メートル「ひゅうが」がバックした。
作業関係者のみ着用したキャップとTシャツ。非売品